尿路結石とは
尿中成分であるシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムの結晶が凝集・成長して結石になると考えられています。形成された結石が腎臓内にある期間はほとんど無症状ですが、尿管に移動すると疼痛発作が出現する可能性があります。発熱(急性腎盂腎炎)や腎機能低下を伴うと、緊急で処置が必要な場合もあります。
尿路結石の原因
一部の結石成分を除いてはっきりしていません。地域、気候、人種、食事内容、職業など様々な要素が複雑に絡み合っています。肥満、糖尿病、高血圧といった生活習慣病や、こうしたリスクの重積が尿路結石と関連していることは間違いなく、最近ではメタボリックシンドロームの一疾患と位置付けられています。
尿路結石の検査・診断
- 超音波検査
- レントゲン検査
- CT検査
- 採血検査(炎症反応、腎機能の確認)
- 尿検査(培養検査を含む)
尿路結石の治療
特に尿管結石は症状が多く出現するため、治療が必要になってきます。
但し、長径10mm未満の尿管結石の多くは自然排石が期待できるため、保存的な経過観察が可能です。自然排石までの日数には、明らかな個人差があります。
但し、症状が重篤な場合では、結石径に関係なく緊急処置(尿管ステントや腎瘻造設)や緊急入院が必要な場合もあります。
ごく一部の結石を除き、結石を溶かす治療はありません。自然排石を促進する薬剤(前立腺肥大症の治療薬が有効です)を内服します。飲水量を多くし、鎮痛剤にて疼痛コントロールを充分に行いながら、いつも通りの生活を心掛けていただきます。症状出現後1ヶ月以内に自然排石を認めない場合には、保存療法は無効と判断することが多くあります。
手術療法としては、体外衝撃波(ESWL)や内視鏡手術が多く行われております。開腹手術は、現在ではほとんど実施されていません。
尿路結石の予防
尿路結石は、再発リスクの高い病気です。
水分摂取は再発予防に対して最も有効な手段です。2000ml/日 以上の尿量を確保するため、食事以外での飲水量の目標を1日2000mlとします。
尿路結石のほとんどはシュウ酸カルシウム結石です。シュウ酸を多く含む食品には、ホウレンソウなどの葉菜類の野菜、タケノコ、紅茶、コーヒー、ココア、バナナ、チョコレートなどが挙げられます。シュウ酸を多く摂取しないための工夫としては、茹でることと食べ合わせが重要です。ホウレンソウは茹でることで、約半分のシュウ酸が除去されます。また、カルシウムを一緒に摂ることでシュウ酸の吸収を減らすことが出来ます。腸内でカルシウムと結合し、便として排出されるからです。ホウレンソウを食べる際にはかつお節やちりめんじゃこをかけましょう。また、同様のことがコーヒーや紅茶でも当てはまります。ブラックやプレーンで飲むよりは、ミルクを入れて飲む方がシュウ酸の吸収が抑えられます。
尿路結石やってはいけないことは?
肥満、糖尿病、高血圧といった個々の生活習慣病や、こうしたリスクの重積が尿路結石症と関連していることが多くの研究で示されています。尿路結石症はメタボリックシンドロームの一疾患と捉えることができるため、運動不足、偏った食生活、睡眠不足など生活リズムの乱れ、ストレス、喫煙といった好ましくない生活習慣は避けるべきです。